教授との ‘fit’

合格体験談や現役教授などによるPh.D.の受験アドバイスを見ていると、’fit’ という文字が常に魔法の言葉のように何度も何度も出てくる。「合格の秘訣は?」「fitだね。」「この成績でハーバード受かりますか?」「fitによる。」と、二言目には必ず出てくるぐらい重要である。これは基本的には学部や教授との「相性」という意味だが、その年の学部の方針や大学の経済状況等も含めて「自分ではどうしようもない運命」といった意味に近いかもしれない。

Ph.D.の合否を決めるにあたって、スポンサーになってくれる教授が2人ほどいなければならない。「アドミッションコミッティー」という教授数人から成るものがあり、教授たちは毎年ローテーションでリクルートを担当している。このコミッティーの教授たちが中心となってアプリケーションを読みながら合格者を決定するのだが、最終的には学生と相性のよさそうな教授がいるかどうか、またその教授がどう思うかにかかっている。学部に自分のやりたいことを指導してくれるような教授がいなければまず話にならない。いたとしてもさらに問題なのは、教授たち全員が毎年思うように好きな生徒をピックできるわけではない。自分の興味とぴったりな研究をしているA教授がいたとしても、前年一人担当生徒が入学していたとしたら「Aさん去年一人付いたでしょう~今年はB教授にとらせましょう」みたいな事になるのである。この辺りの駆け引きは全て内部事情であり、外部からは全くみえないのだ。

そこで大切なのは、受験前に興味のある教授にメールをしてみる事だ。学部のウェブサイトをしっかり読み込み、興味のある分野を研究している教授を把握し、出来れば著書や論文をいくつか読み、個人的にメールをしてみ て「こういう者です。先生の研究内容に興味があります。来年受験しようと思っているのですが、院生を受け入れていますか?」と質問する必要がある。私も受験前の6月ごろ10人以上メールを打ったのだが、「君のリサーチは面白そうだけど、僕はまだテニュアじゃないから担当にはなれないんだ」や「今年は生徒とってないんです」といった返事がいくつか返ってきた。こういった学部は受験するだけ無駄であり、受験料の大幅な節約になるのでこのメールは必ずするべきだ。

参考までに、私の打ったメールはだいたいこんな感じだった。テンプレートにして大量発送すると嫌がられるので、ちゃんとパーソナライズして、その教授の研究と自分の興味をしっかりと関連付けて説明しなければいけない。

題名:Question about Ph.D. mentorship

Dear Professor [だれだれ教授] ,

Hello, my name is  [あんそろこさん] and I am currently preparing to apply for a Ph.D. program in Anthropology. I came across your page on the [どこどこ大学] website, and was really excited to see the list of your research projects regarding [ちゃんと教授の研究内容を予習済みですとアピール.] I also remember reading an excerpt from your book as a part of my coursework, which I found [どの部分がどういう理由でとても素晴らしかったです]  and also very inspiring to my own ethnographic approach when writing my undergraduate thesis. As my own research interest is closely related to the topics you study, I am very interested in pursuing a doctoral degree as your student. I would like to know if you are accepting new students for next year (2010 Fall admission). I understand that you are extremely busy, but I would very much appreciate if you could provide me with some guidance. I apologize in advance for the lengthy email.

In my honors thesis, I [ 100文字ぐらいで卒論の内容を説明。ここでも教授の研究と関連付けられるとよい。メールにはAbstractと履歴書を添付 ]

I have attached my resume which more fully details my academic career. I am currently searching for potential programs to apply to and professors I could work with. If you are not available next year or my research interests do not seem compatible with the program, do you have any recommendation for professors I could contact?  Thank you very much for your time, and I look forward to hearing from you. Please take your time, and I would appreciate if you could respond whenever you have the time.

Sincerely,

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教授は とても忙しいが、丁寧で簡潔なメールを打てば大抵返事をしてくれる。ただしメールにはくれぐれも失礼のないように、書き方には注意。私のこのメールも果たして良かったのかどうなのか自信はないので(ちょっと長すぎ?)、テンプレートとしては使わない方がいい。あくまで参考までに…。

「うちは合わないけどこどこ大学のC教授なんかいいんじゃない?」などのアドバイスをくれたり、「面白そうですね。詳しく話しましょう」とアポがとれたりすることもある。また、貰った返事の感じから教授がどの程度教育熱心か、自分のリサーチにどの程度興味を持ってくれていそうかがなんとなくつかめる。メールのやりとりから直感的に感じ取る「この教授とウマが合うかどうか」は受験大学を絞り込むのにかなり重要な手掛かりとなるのだ。

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